農家はもっと減っていい~農業の「常識」はウソだらけ~ (光文社新書)
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脊髄反射的に「むむむっ!」となりそうなタイトルですが、中身を読むと全体として、非常に納得感の強い内容でした。
読む前の投稿で書いていた「農家が減ったときに、農業の多面的機能等の外部経済効果をどうカバーしていくのか」についても、若干ながら言及がありました。
農業界隈の現状を、生産者の視点からある程度俯瞰で把握にはもってこいな気がします。新規就農を考えている方にも非常に参考になりそう。
個人的に一番響いたのは、
「売れなくなったら、無理解な人々を罵りながら、全部自分たちで食べます。」(第2章)
という一文です。
筆者の方は有機農業を面白いからやられているとのことでしたが、私も面白いから原木椎茸の栽培をしています。
一見ちょっとふざけた一文のようで、“面白い”を追求するにあたってのまさに腹の底の覚悟の一文なのではなかろうかと勝手に思ったり。実際のところは分からないですけど。
小さな農家の生存戦略については、同意する部分と、そうでもないところがありました。
そうでもないというのは、具体的には「ファンベース」の部分ですね。
これは栽培している品目の種類や数、規模の違いが大きそうです。
筆者の方は自身の農園を“小さな”と表現されていますが、栽培面積6ha、100品目、売上高5000万円程で法人化して雇用もしておられるとのことで、さわよりはワンステージ、ツーステージ上のサイズ感です。
さわくらいの規模ですと、コミュニケーションコストとのバランスで、ファンベースの販売というのは難易度の高い選択肢にように感じています。
もちろん、例えば季節性で単価も高い果実や、定期的な消費が読めるお米なんかですとより小さくてもファンベースの販売は相性が良さそうですし、結局は自身の農業経営をいかに組み上げるかということなんだと思います。
あとは、私が消費者として自由がほしいので、生産者としてもその自由を制限するような販売方法には抵抗があります。これは単純に好みの問題ですね。
最後の章の健康管理について。これは本当に大事ですね。
私の場合は、常々「腰と精神は死守」と胸に刻み、食事(腹八分目)・睡眠(7〜8時間)・運動(ウォーキング)に励んでおります。無理をしたら確実に跳ね返ってきます。
この土台の上、特に精神については定期的な休日と良い人間関係、そして、ゆとりある資金繰りが不可欠だと感じています。
そして、年1回は健康診断 or 人間ドック。
ということで、とりあえず感想でした。
少し間を空けてもう一度読んでみようかと思っています。
・追記(2023-1-2)
撤退の農村計画―過疎地域からはじまる戦略的再編
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そういえば、2010年に出版されている、こちらの本にも通づるところがあるのかなと思いました。
今のまま全部は守れないから、引くところまで引いて、守らなければいけないところを確実に守るという発想ですね。
私は、その守る手段としてうまく農業を機能させることができるんじゃないかという発想で研究のち就農しましたが、2020年代になり農業ですら維持が難しい状況にきているということですね。
・関連投稿
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おまけプチ旅行記。
週末、群馬県にある桐生が岡動物園に行ってきました。
山の中腹にあり遊園地が併設されているのですが、なんと入場料無料です。
入園早々のライオン!出し惜しみ無し!キリンとかワニとかペンギンとかいろいろいました。
ちなみに写真左側のロープのようなものは消防のホースだったり、公園の雲梯みたいなものが置いてあったりと、いろいろ有効活用しているようです。こういうの好きです。
無料の動物園だから無料なりのクオリティなのかと思いきや、普通にとても良かったです。もちろん規模的には小さいですが、ほんとなんかちょうど良い塩梅の動物園でした。
そうすると人間不思議なものでちょっとでもお金払いたくなるんですよね。……と、そんなタイミングで募金箱が出てくる親切設計(笑)。
園の奥の方の折り返し地点あたりにあるのですが、この募金箱の設置場所は勉強になりますねぇ。
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