まず、率直な感想としては加入してよかったです。やはり、家族経営で農業をやっていく上で安心感は何ものも代え難いですね。
収入保険は今年から新たに始まった農業の保険制度です。個人もしくは法人の農業者で、青色申告を行っていることが加入の条件となります。
経営努力では避けようのない農業収入減少に対して補償が受けられます。例としては以下のようなものが挙げられています。
「農業経営の収入保険:農林水産省」より
・自然災害や鳥獣害などで収量が下がった
・市場価格が下がった
・災害で作付不能になった
・けがや病気で収穫ができない
・倉庫が浸水して売り物にならない
・取引先が倒産した
・盗難や運搬中の事故にあった
・輸出したが為替変動で大損した
事故発生時、金額ベースで被害を見て補償をしてくれるので、栽培品目をまとめてカバーすることができます。また、農産加工品についても材料(事業消費)分は含まれます。
さわでは昨年まで当然加入(強制加入)が定められていた水稲共済に加入していましたが、品目が限られ、被害を収量ベースで見る農業共済では、やはりいざという事態に心許ないというのが正直なところでした。原木椎茸などの他品目はもちろん、水稲に関しても収量減少以外の例にあるような事態には対応できないですからね。
そのため、共済には頼らず備える必要性を感じていました。↓の投稿などですね。
守りの農業経営 〜1年間売上がなくても事業を継続できる状態を作る〜
しかし、自力での備えにはそれなりの時間がかかりますし、その間もリスクにさらされ続けるわけですから、結局は綱渡りになってしまいます。
農業経営は、収益性の低さとリスクの高さから攻守のバランスをとるのが本当に難しいです。災害が頻発する昨今は尚の事です。そうした中、この収入保険は心強いですね。セーフティネットがあればこそ、攻めの比重を高められます。
さわのような小規模・多品目・直売メインの農業者にも相性が良いように思います。
ちなみに、国費による助成が重複しないよう、収入保険と水稲共済などの類似制度は併用できないようになっています。
さて、補填は以下のイメージのようになります。積立方式と保険方式の二段構えになっています。
「農業経営の収入保険:農林水産省」より
若干ややこしいかもしれませんね。詳しくは農林水産省のページをご覧ください。
掛金に関しては、保険料、積立金、事務費がかかります。
国庫補助もあり、それほどの負担感はないように思いました。ただ、1年目は積立金部分の支払いがあるのでやや金額が大きくなります。積立金を使わなければ、2年目からは保険料+事務費のみとなりますのでぐっと下がります。
収入=売上で掛金が決まるので、利益率が高いほど保険の効果も高まるということになりますね。
保険料率は、自動車保険のように保険金の受け取りがなければ下がっていきます。
来年(令和2年)からは支払率の選択幅が広がり、補償下限も選択することができるようになるとのことで、フレキシブルに、より保険料を抑えた加入の仕方も可能となります。
ということで、収入保険1年目の感想でした。
繰り返しになりますが、日々の備えの重要性をヒシヒシと感じています。収入保険に限らず、いつ何時いかなる状況にも微笑みながら対応できるよう準備しておきたいところです。
農業において大切なことは続ける事だと思っています。続けて、次の世代にバトンタッチする。そうやって、目まぐるしく変化し続ける世の中で連綿と営まれ続けて来たわけです。
大変な時代ですが、みんなで生き抜きましょう。