2026年11月8日日曜日

横着な畑の栽培体系を科学的に考える

畑


ただ雰囲気だけで進めるのも何なので、考えている栽培方法について、既存の農学研究をもとに科学的な根拠を整理してみました。

結論から言えば、基本的な方向性には十分な合理性がありそうです。ただし、個々の技術に科学的な根拠があることと、それらを組み合わせた栽培体系が実際にうまく機能することは別問題です。そのあたりは今後の検証が必要そうです。


・雑草マルチ

刈草で土の表面を覆うことには、雑草の発生を抑えるだけでなく、土壌水分の蒸発を減らし、地温の変化を緩やかにし、雨による土壌の流出を防ぐ効果が期待できます。これらは科学的にも裏付けられている作用です。

ただし、厚く敷けばよいというものでもなく、刈草の種類や水分量によっては通気性が悪くなったり、春先の地温上昇を妨げたりする可能性があります。適切な量と敷き方を見極める必要がありそうです。


・全面耕耘の廃止

耕耘には土をほぐす効果がある一方で、繰り返すことで土壌の構造を壊したり、侵食を助長したりする面もあります。そのため、必要な部分だけを耕す「省耕起」には合理性があります。

とはいえ、耕さなければ必ず土が良くなるというわけでもありません。もともと土が硬く締まっていたり、排水性が悪かったりする場合には、耕起や土壌改良が必要になることもあります。また、耕起を減らすことで収量が低下する例も研究で報告されています。

どうやら、必要のない耕耘をしない、という考え方が適切なようです。

ちなみに、栽培する場所を踏み固めないためには、歩く場所を分散させるよりも、通路を固定してしまう方が合理的そうです。


・有機物の分解と養分供給

刈草や廃菌床などを土の表面で分解させる方法にも、科学的な根拠があります。

炭素の多い有機物を大量に土へすき込むと、分解する微生物が土壌中の窒素を取り込み、一時的に作物が窒素不足になることがあります。いわゆる窒素飢餓です。表面で分解させれば、この影響を緩やかにできる可能性があります。ただし、完全に防げるわけではありません。

また、刈草、木質残渣、廃菌床では分解速度も養分の量も異なります。特に廃菌床は原料や栽培条件によって性質が大きく違うため、何でも同じように肥料として扱うことはできません。

木灰についても、カリウムなどの供給源になる一方、土壌の酸性を矯正する作用があるので、入れすぎには注意が必要です。

有機物をたくさん入れれば肥料が不要になる、という単純な話ではないようです。


・輪作と養分管理

作物の種類を分散させる輪作についても、病害虫の発生を抑えたり、養分利用の偏りを減らしたりする点で合理性があります。

そして、養分については、畑に入ってくる量と収穫物などとして出ていく量の収支を考える必要があります。畑の中で生えた草を刈って同じ畑へ戻すのは、基本的には養分の循環です。一方、畑の外から刈草を持ち込めば、養分の供給になります。

もっとも、土の中に養分が存在することと、作物が必要な時期に利用できることは別です。

肥料を使わないことを目的とするのではなく、必要な養分を過不足なく供給する。その結果として施肥量を減らせれば理想的です。


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今回調べてみて面白かったのは、考えていた栽培体系が、国連食糧農業機関(FAO)の提唱する「保全農業(Conservation Agriculture)」の考え方とかなり近かったことです。

保全農業は、土壌攪乱の最小化、継続的な地表被覆、作物の多様化を基本としています。もちろん、今回考えている方法がそのまま保全農業の定義に当てはまるわけではありませんが、方向性としては共通しています。

ただし、私としては、特定の農法を実践(目的化)すること自体にはあまり興味がありません。

重要なのは、作物の質と量を必要な水準に維持しながら、どこまで労力とコスト、資機材や燃料の投入を減らせるかという点です。

耕耘や除草の作業が減っても、刈草の収集や運搬にそれ以上の手間がかかってしまえば、あまり意味がありませんからね。

今後は、土の硬さや排水性、マルチの量、作物の生育、収量、作業時間などを確認しながら、実際に合理的な管理体系になっているか検証していきたいと思います。

目指すのは、単に手を抜く農業ではなく、必要のない作業をなくすことで成立する、横着な農業です。

うまくいくといいんですけどね。


2026年11月7日土曜日

徒然じゃない日々(37)

11月になりました。

10月の初旬には稲刈りから籾摺りまで完了しまして、中旬からは原木椎茸の栽培が始まりました。

原木椎茸は収益性改善と労力軽減を図るため、今年から本数を減らし、合わせて管理方法も変えました。

今のところ、順調に栽培できています。まだまだシーズン序盤ですので油断できませんが、目論見通りに作戦がはまると気持ちいいですね。農家冥利に尽きます。


さて、天気予報では東北が10年に一度程度の著しい低温予報の一方で、関東では10年に一度程度のかなりの高温との予報で、狭間のいわきは果たしてどうなるのでしょうか。

ちょうどいい感じに落ち着いてくれるといいんですけどね。平穏無事が一番です。


稲刈り後の田んぼ(雨後)

2026年11月2日月曜日

【定期】家計の見直し(2026年11月)

定期的な家計の見直しです。


・「タダ電」から「楽天でんき」に乗り換え

圃場(ビニールハウス)の電気はこれまでいろいろと渡り歩き、直近は「タダ電」を使っていました。

タダ電は5000円分まで電気代が無料になるという電力会社で、絶対に使うけどごく少量といううちの圃場での用途にぴったりでした。

ですが、料金の改定により最低料金という仕組みが導入されて、契約13〜18か月目は560円、19か月目からは1,800円が毎月かかるようになってしまいました。

これでは基本料金なしで使用量に応じて払う形式の電力会社の方が年間トータルで安くなると判断しまして、「楽天でんき」に出戻りました。

ちなみに、圃場以外の契約はすべて東北電力です。


・teppayの使いどころはなさそう

JR東日本のコード決済 teppayのサービスが始まりましたね。

お得、もしくは便利な使いどころはないかと考えましたが、クレジットカードからのチャージがビューカードに限定されてしまっているのがつらいですね。

とりあえず自身の用途の範囲ではモバイルSuicaで十分そうでした。

現状、モバイルSuicaはデビットカード(Point+)→VポイントPayというルートでチャージしているので、teppayを挟む余地はなく……。


・引き落とし口座ひとつ、クレジットカードひとつ

引き落とし口座とクレジットカードは各々一つずつという状態にやっと整理できました。長い道のりでした。

管理がシンプルになり、脳みそのリソースがだいぶ節約できている気がします。想像以上のすっきり感です。

クレジットカードは定期的な支払い+αに使い、普段の買い物などは基本的に還元率のよいデビットカードを使うようにしました。こうするとクレジットカードの引き落としもだいたい同じような金額になり分かりやすいです。


・洋梨おいしい

知り合いの梨屋(和梨)さんから洋梨をいただきました。

「洋梨=ラ・フランス」レベルの無知だったのですが、ラ・フランスってあくまで洋梨の一品種なんですね。

そんなわけで、特に美味しいというイメージもなかったのですが、食べたらなんとびっくりの絶品……!

いただいたのはバラードという品種だったのですが、柿のちょうど良い食感と和梨の風味というかなんというかとても美味しい!

和梨が本職なので洋梨は趣味の栽培らしいのですが、これは来年もこっそり買いに行かねばと思っております。


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農園の栽培体系を鋭意見直し中で、より思想に則った農業ができるようにしたいと思っています。

思想と言うとあやしい感じを醸し出しますが、物事をより良く、もっと良くと改善していくためには、その基準となる思想は必要ですね。

私の場合は、「無駄をなくす」というのが根本となる思想であり、基準です。

家計も同様に無駄のないものにしたいと思っています。


きな粉とキクラゲ

2026年10月24日土曜日

畑の全面耕耘をやめて、横着な栽培体系を確立する(したい)

小さな畑

さわのトータル5畝弱くらいの小さな畑はもともと小型の管理機で耕耘していたのですが、その管理機が洪水の際に水没して壊れてしまい、それからはトラクターで耕耘していました。

しかし、改めて畑の栽培管理を見直してみると、案外圃場の全面耕耘はしなくていいんじゃないかという気がしてきました。


栽培期間中は圃場内および周辺の草を刈り取って雑草マルチとする。雑草マルチは下から草が生えてこない厚さを目安とする。
→どちらにせよ圃場周辺の草刈りは必要。であれば、刈り取った草を運ぶ手間が増えるが、圃場内の草刈りは減るのでトータルの労力的にはさほど変わらない印象。最終的に分解され、基肥分をまかなえる程度の栄養補給になったらいいなと期待。

栽培期間後も雑草マルチは土の表面での分解に任せて、すき込まない。
→大量に運び込んだ雑草・その他=有機物を一気にすき込んでしまうとモノによっては土中が窒素飢餓の状態になる可能性がある。すき込まないことで影響を緩やかにする。そして、労力軽減。

畝立ての際は、雑草マルチを横にどける。
→耕起の必要性の一つは土をほぐすことにあるかと思うが、雑草マルチで常に覆っておくことで土の固まりは許容範囲に収まる印象。圃場の全面耕耘は行わないが、鍬での畝立ては行うので少しずつ数年に一度程度は土を掘っ繰り返してはいることになる。踏圧の分散のため同じ場所を歩かない、もしくは逆に完全に固定するなどの工夫が必要かもしれない。

追加の栄養分が必要な場合は適宜追肥を行う。
→運び込んだ雑草、キクラゲやナメコの廃菌床、植菌の際の削りカス、木灰、その他天然供給等を入れても尚まかないきれない分の栄養は、適切に追肥を行う。とりあえず、今年のナスとキュウリの生育は良い感じでした。追肥を最小化しつつ、土の平衡状態を保てるようにしていきたい。

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ちょうど良い規模、品目の分散(輪作)、そして全面耕耘の取りやめ→最小限の耕起により、労力とコストの低減を図ります。そのうえで、いかに肝心の作物の出来(質・量)が維持できるかですね。

収量については単位面積当たりの最大化は求めておらず、労力とコストとのバランスで必要量が採れればよい、という設計でやっています。(→参考『小規模家族農業における最適財務モデル』)

また資機材や燃料については、可能な限り種類、使用量を減らしたいと思っています。これはスマート機器も含めてです。(→参考『理論的考察(1):Digital AgroecologyとTechnology as Scaffoldingの接続』)


今年から実践した原木椎茸の横着伏せは素晴らしい管理体系です。是非、畑においても横着な栽培体系を確立していきたいと思います。

2026年10月18日日曜日

X(Twitter)をやめました

Facebook、Instagram に続いて X(Twitter)アカウントの運用もやめることにしました。

ついでに、こっそり存在していたものの10年くらい放ってあった Pinterest も削除。

これで、いわゆる SNS 的なものの使用は無くなります。(厳密には個人サイトの方に紐づいた Bluesky のみ)

特に困ったことや嫌なことがあったわけではなく、何となく脳のリソースが無駄に消費され、圧迫感が強くなってきたことが理由です。

また、最近はもう仕事上の必要性はほぼ皆無になってきていましたので、丁度良い機会かなと。

今後、農園に関する情報発信はこのブログでのみ行います。よろしくお願いします。


有意義な時間の使い方について、改めて考えていきたい今日この頃です。


猫の昼寝

2026年10月10日土曜日

走り子 2026

原木椎茸 走り子

ここ最近の秋晴れで走り子(はしりこ)がたくさん出てきました。

走り子と言うのは、収穫シーズン前に勝手に生えてきてしまう椎茸です。

収穫用に並べていないので採りづらく困ったものなのですが、一方で芽がしっかりできている証拠でもあります。

9月の長雨の影響が心配でしたが、とりあえずはほっとひと安心です。

来週から本格的に発生を開始します。

楽しみです!


・関連投稿


2026年10月5日月曜日

原木椎茸が抱える課題

一通のメールが届きまして、

「特用林産物生産において、熟練者の技術が数値化・機械化されていないため生産性が低く、さらに原発事故の影響で安全な原材料(原木)の確保コストが急増し、輸出に耐えうる安定供給ができない状態にある。」(原文ママ)

に関する現場の声が聞きたいとのこと。


生産者としては聞くとなかなか辛辣な課題設定ですが、外部からどう見えているかという点では勉強になりますね。


ただ原木椎茸に関しては、この問い立て自体が偽で、「生産性が低いために安定供給できない」のではなく、「需要と供給のバランスの中で経営が成り立つラインが今の生産量」というのが私の認識です。

そして、輸出を増やすためにやるべきことは、まず輸出を増やし、需要を増やすことな気がします。

商社なりが輸出の突破口を開き、輸出によって今の例えば直売なんかよりも利幅が取れるようになれば少なからず生産量は増えるんじゃないかと思います。

その際、ボトルネックになるのはおそらく生産性ではなく原木の供給です。今、ナラ枯れが問題になっていますが、大きく生産量を増やすためには、原木生産の担い手の確保、山の整備が不可欠です。

(追記:ナラ枯れ被害で問題となっているのは樹齢50年を超えるような古木で、椎茸の原木として利用する若い木ではないそうです)


ちなみに、「熟練者の技術が数値化・機械化されていない」ように見える(かもしれない)きのこ栽培ですが、実はけっこう研究されております。

ただし、(元課題の文意が読み切れないので推測にはなりますが)「数値化・機械化を進めれば生産性が上がる」という発想・思想の先にあるのは、たぶん菌床栽培です。

菌床栽培と原木栽培は、どちら良い悪いではなく、目指すところが異なります。

原木栽培の場合、周辺の自然環境を活かし、いかに管理コストを下げるかが経営上の肝になります。「できる/できない」と同時に「やる/やらない」の選択が非常に重要になってきます。

原木椎茸栽培において数値化されたことを環境に合わせてどう栽培に落とし込むかは生産者の腕の見せどころですが、果たしてこれを標準化することに価値があるのかは難しいところです。


などと、何故ブログに書いているかと言えば、「話が聞きたい」とのメールに「大丈夫ですよ」と返信をしたものの、そこで連絡が途絶えたので消化不良となったのでした。

(追記:連絡ありました)


原木椎茸の栽培でもうちは相当小さいですし、乾ではなく生メインですし、地域としても盛んな訳では無いので、認識として偏っている可能性がございます。あしからず。


原木椎茸栽培